■8台目
1984〜1985年 Hofner 500/1 BEATLES BASS VINTAGE
MODEL
−ワンオーナーで購入時の保証書があったことから、1985年に谷口楽器が販売したHofnerであることは、わかっている。
●個人的には、それぞれ個性が異なる7台あれば、もうHofner
500/1というベースギターは満足できる数だと思っていた。
しかし、このサイトを見てくれた大阪のMr.YKとメールでやりとりしているうち、自分なんかより昔からHofner 500/1という楽器に興味を持って、古い資料を集め、さらに1999年前後までHofner
500/1の販売代理店であった谷口楽器とも情報のやりとりしていたことを知らされ、もう少しこの楽器の背景を知りたくなったのである。
それまではプレイヤーの観点から「弾きやすいか?」「ネックの握り具合はどうか?」と自分の感覚だけを指針にさまざまなHofner
500/1に触れて、集めてきた。また、なぜか現在の販売代理店である新星堂から発売されている新品の42mmナット幅の楽器には、全く魅力を感じることがないのである。では、なぜ、昔の谷口時代のHofner
500/1は自分の好みに合ったのだろうかと考えるようになり、今度は「谷口Hofner」というものに興味を抱いてしまった。
そして自分なんかより何倍もHofner500/1に詳しい大阪のMr.YKからさまざまな資料を見せてもらい、今まで差異を見分けるポイントであった「ピックアップの違い」「エスカッションの違い」「ネックのバインディングの有無」以外にも、自分が気がつかなかった別の仕様の谷口モデルがあることを知らされたのである。
改めて伝えさせてもらうが自分は、「ポール・マッカートニー先生の仕様にも興味あるけど、好きなのはポール・マッカートニー先生のと同じ仕様のHofner
500/1ではない」ということが前提なのである。だからネットなどでは悪評や批判のほうが多いけど、自分が弾きやすい仕様のHofnerを発売していた谷口楽器には何も先入観持たずに、さまざまなタイプのモデルのHofner
500/1を集めてきてしまった。
そんな自分が全く気がつかなかったことを大阪のMr.YKに知らされた。それは、「エスカッション、ピックアップとも、日本製ではないかと思われるものが付いていた仕様があった」ということだった。となると、その仕様のHofner
500/1は、我が家にない。ない物はどんなものなのか、興味がある。そして、たまたまネットで探してみると、一台、当時のタグや保証書が付いたワンオーナーの極上品が見つかったのだ。
しかしタイミングは最悪。自分としては、もう7台集めたんだから、あとは最も廉価だけど40mmナットで弾きやすそうな、インドネシア/中国製のIgnition
Bassを買って終わりにしようと、近所の所沢の島村楽器に注文した直後だった。そう、お金がないのである。でも、ワンオーナーで新品時のタグ、谷口楽器の保証書が付いた物など、二度と出ないかもしれない。
賃貸の家賃やら各支払いをやめることはできないから、またいつものように猛烈に節約して、理解し協力してくれくれる人もいて、買ってしまいました、2010年9月26日の日曜日。
●売ってたのは、横浜にあってビートルズ系の楽器をたくさん扱う、2012年2月まで存在した「クレーンギターズ」という店だった。
実は自分には、「ビートルズが使ってた楽器が大好きな人」というのに、ある種のアレルギーがあったのだ。ビートルズの楽曲を仲間たちとかと弾くのは正常なことだと思うけど、衣装やらコスチュームなど、さらには楽器の差異点などにこだわるのは「ちょっと違うのでは」と思っていたし、楽器演奏を楽しむ方向が自分とは違うとも思っていた。さらには演奏スタイルや演奏方法までビートルズと全く同じでなければいけないとなると、これはクリエイティブな音楽活動とは呼べない。単なる物真似合戦だ。ビートルズの楽曲が好きで弾いて楽しむなら、似た楽器でも楽しめるはず。人の趣味をとやかく言うつもりは無いが、衣装や靴やプレイスタイル、さらには楽器の細部にこだわるのは、自分には理解できないと思っていた。コスプレは今でも考えたくないけど、楽器の詳細を知るために資料を持って、裏付けをもって追求するのは偉大なことだということは、後からわかったけど。
というのも、2009年に募集ビラに誘われてビートルズコピーバンドに参加したのだが、それはまるでバントで音を出して楽しむのではなく、「あ、そこポールの人は歌わない」「そこはそうビートルズはやってない」と細かい所を突つかれ、まるでビートルズ教習所である。練習にしても、まるでサークルの合宿的に、ビートルズに成りきるための役者の練習してるような雰囲気があって、ついていかれなかった苦い記憶があるのだ。そういう意味で自分は、ビートルズ好きでも、きっと邪道なのだろう。
だから、ネットに記載されてた、「こだわり」とかいう文字には恐れてて、なるべくなら近寄りたくないなぁとは思っていたのである。でも、楽器は、欲しいのだ。勇気出して、横浜に行ったのである。
●すべては杞憂であった。2012年2月までクレーンギターズを経営していた岩本さんは、自分のようなポール・マッカートニー仕様まっしぐらではない人間も受け止めてくれる人であった。
「へぇ〜、僕なんか逆に1960年代のビンテージとか、最近のでもポール・マッカートニーが使ってた仕様に近い製品だったら詳しいんですけど、ちょうど谷口楽器時代のHofner
500/1は全くわからないんです。ビートルズが好きで、ベースだからポールが使ってたHofner
500/1は使うけど、ポールの仕様にはこだわってなくて自分が弾いて気持ちよければいい、というスタンスの人って、珍しいですね」と感心されてしまいました。
さらに自分のサイトをプリントアウトした物を見てもらって、「ポール仕様でないHofner 500/1を、ここまで研究しているって凄いです。海外で一冊だけ書籍がありますけど、日本には、Hofner
500/1の情報を詳しく記載した書籍とか雑誌って無いから、ある意味、このサイトの情報は貴重じゃないですか?」とも言ってもらえた。
という訳で、大阪の方から教えてもらった、ピュアな谷口Hofner50//1を入手したのである。岩本さんには別の意味の迷惑かけてしまい、でも「いいですよ、いいですよ」と言ってもらえました。ありがとうございます、少なくとも自分の手元にある限りは、キレイに、すべてメンテナンスして、いい状態で使わせてもらいます。
ただ驚いたのは、自分のHofner 500/1でも3台、それ以前からたくさんの楽器の面倒みてくれてた石橋楽器新宿店のAさんのことを話したら、「実は僕は、この店やる前まで、石橋楽器の新宿店に居て、Aさんは上司だったんですよ。今度会ったら、ヒゲの岩本と言えばわかりますよ。驚いたなぁ、今日、こんなかたちでAさんの名前を聞くとは思わなかった」だとか。世界は狭いのである。いい人と仲良しになると、こうした巡り合いもあるのかと考えてしまった。
とにかく、初対面ながら、わがままな迷惑かけてしまいました。岩本さん、ありがとうございました。そして後日、2012年2月29日の水曜日の夜、何を買うでもなく、閉店に伴い必要なくなったHofner
500/1に関する古い部品とか色々を頂きました。また、いつでもお会いしたい気持ちですし、いつも元気でいてください。
●2010年10月1日現在、このHofner 500/1は、それまでのドイツ製の部品だけを使って生産されていた標準モデルではない、当時の日本側販売代理店であった谷口楽器の渡辺昭夫さんが企画した日本仕様、後にドイツのHofner社に本格的なリイッシューモデルを作らせた先駆けとなったモデルだということがわかった。このモデルを発売したあと、1986年以降ころ登場するのが、ネーミングこそ正しくないけど、Hofner社が初めて作ったリイッシューモデルであるVintage'58モデルだ。
今回のこのモデルが登場するまでドイツのHofner社には、バーブレイド(シャークフイン)ピックアップ、ショートテールピース、バインディング付きネック、真っ白いナット、白や黒や太い細いが混在した色や形がさまざまなスライドスイッチとボリュームノブなどの部品しかなかったのである。古き良き1960年代に似たモデルなど、絶対に再現できないのが当時のドイツHofner社の事情だった。それら部品を組み合わせて製作し、全世界にカレントモデル(世界標準モデル)を販売していたのである。
この当時のカレントモデル(世界標準モデル)をさらに進化させて、1964年以前の古き良き時代のフォルムを取り戻し、Vintage'58('58年というネーミングは当時のクリスチャン・ベンカーが名付け親であり、日本から求めた名称ではない)をHofner社に要求したのが、谷口楽器であった。このモデルを含め、Vintage'58に使われた部品類の大半は、谷口楽器のHofner担当者である渡辺昭夫さんが日本で集めて、それをドイツに送って組んでもらったのだ。
純正主義にこだわったら、この日本製シングルコイルのステイプルトップ・ピックアップ、ロングタイプのテールピース(これは後でドイツが新たに作ったと知らされた)、白/黒/白の3色サンドイッチナット、白いティーカップノブが付いたモデルは生まれてこなかった。このモデルはドイツのHofner社のコントロールパネルやポット、スライドスイッチ、'70年代から使われてるペグを使用しているし、これらはドイツ製だが、それ以外ではヘッドを含めたネック(2011年8月、ネックはドイツで作ってもらったという話を聞いた)、ピックアップ、エスカッション(これも2011年8月、ドイツで使われていた物であったと聞いた)など’、'60年代をほうふつとさせる部品はすべて日本製だ。
(訂正 ・後日、この楽器をプロデュースした渡辺昭夫さんから聞いたら、「ヘッドとかネックは送ってない。ただ、これだけが白い縁取りのないヘッドなのは、日本から初めてドイツに注文してバインディング無しネックを作ったから、仕様が決まってなかったのではないか。あと、このテールピースは長いが、これも日本から送った物ではない。ドイツのHofner社には、昔のテールピースを製造する型はもう無いと言っていたので、昔のを思い出して作った物だ。ネックやヘッドとともに、弦を引くバーの角が丸いこのテールピースは、日本からのオーダーで新たにドイツで作り始めたので、しっかりと昔を再現する形になってないのではないだろうか」と言っていた)
ある意味、古き良き時代の雰囲気を全くどこにも残していないドイツ製Hofner 500/1のカレントモデルをそのまま買うしかなかったときに、あえてドイツのHofner社に難しい注文を出したり、日本製部品を送って装着してもらえるよう尽力した当時の渡辺昭夫さんの努力を認めたい。
詳細は、別のページに、「ポール・マッカートニー(に近い)仕様でなっかたHofner 500/1たちをanother Hofnerとして語る」読み物として、日本におけるHofner
500/1の推移を書くつもりだ。当時の事情をよく知る方とも知り合い、コンタクトが取れたことから、今だから話せる日本でのHofner 500/1ストーリー、そしてそれが現行機種たちにどう受け継がれていったのかを、証言を交えてお伝えしたいものだ。
海外サイトでも書かれてることだが、この後に登場した日本仕様のVintage'58という名称は、明らかに間違いだ。後で知ったのだが、ドイツの当時の社長が日本向け仕様モデルを、ポール・マッカートニーが今でも(2011年現在)使っている仕様のモデルの生産・販売年を勘違いして文章にして日本に送ってしまったらしい。なぜ1958年だったのかはいまだに不明だが、当時15〜16歳のポール・マッカートニー先生は、新品のHofner
500/1なんか買えるはずがないのだ。すべてクリスチャン・ベンカーの勘違いである。
とりあえず今わかっていることでこのモデルを説明すると、当時の谷口楽器は'60年代の面影のないそれまでのドイツ製500/1を何とかしようと、昔からHofner社のオーケストラ楽器を輸入している大阪の丸一商店の渡辺さんを通して、谷口楽器の渡辺昭夫さんがHofner社と話し合ったが、ドイツのHofner社はもう在庫も型も何も無い'60年代の面影を持った部品を作ることを拒否した。そこである条件(年に最低200本は谷口楽器が販売する-買い取ること)のもとで、ドイツで再び作れそうな部品は再生産してもらい、ピックアップや電気関連部品など、日本で集めた部品を送ってドイツで組んでもらうことで決着がついた。そのパイロット版、プロトタイプとも呼べるのが、今回入手したこのモデルである。
■8台目Hofner まとめ
シリアル: 259115
製造年: 1984年ころ製造されて、1985年に谷口楽器が販売している
モデルタイプ: Hofner 500/1 BEATLE BASS VINTAGE
MODEL(当時の価格は16万5000円)
01)ピックアップ: VB-1(日本の長野県松本市にある株式会社ゴトー製のステイプル・トップ・ピックアップ)
02)エスカッション: 当時のHofner 500/1の世界標準モデル、カレントモデルに使われていたバーブレイド(シャークフイン)ピックアップを搭載してたドイツ製ラージ・エスカッションを流用
03)コンパネ: 広い(ワイド)コンパネ(日本製)
04)ボリュームノブ: 白いティーカップ型(使われるボルトの頭は六角なのは日本仕様)
05)3連スイッチ: 白、60〜70年代前半ころまで使われたスイッチの高さが低いタイプ
06)ネックヒール: 深い四角形 よってネック下部とボディのすき間にストラップを回すことは不可能
07)ネックバインディング: 無し、しかし90年代以降のものと違い指板サイド部は黒く塗られてない
08)ネック: 1ピース
09)ボディバインディング: 黄色
10)テールピース: ロングテールピースのプロトタイプ(Made
in West Germanyの刻印あり)
11)ペグ: カバー付き 4個独立
12)ペグつまみ: 白プラスチック 形状は両端部が丸くなった樽型
13)ナット: 白/黒/白 (幅は40oで日本製)
14)純正ロゴシール位置: ヘッド裏の上部中央
15)ヘッドHofnerロゴ: 大型金色 いわゆるレイズドロゴ
16)トラスロッドカバー形状:下がる2辺の途中に段差のあるタイプ
17)重量: 約2.2kg
18)付属品: ハードケース、タグ、販売日が記載された保証書
My Hofner
500/1
&
Rickenbacker
少々
A poor English site was able to be done though it was not complete yet.
Rickenbacker
の小部屋
こっちもHofner 500/1と同様マニア向けなものは何もありませんが、少々エグいことやってます
1965-66年
Hofner 500/1
世界標準モデル
(カレントモデル)
1966年
Hofner 500/1
世界標準モデル
(カレントモデル)
1967年
Hofner 500/1
世界標準モデル
(カレントモデル)
1970年前後
Hofner 500/1
世界標準モデル
(カレントモデル)
1973年
Hofner 500/1
世界標準モデル
(カレントモデル)
Lefty(左利き)
1974〜75年?
Hofner 500/1
世界標準モデル
破損復元
1984〜85年
Hofner 500/1
BEATLES BASS
VINTAGE MODEL
1987〜89年
Hofner 500/1
当時の標準モデル
1988年〜
Greco VB165
Made by Hofner
1992〜93年
Hofner 500/1
当時の標準モデル
1995〜1998年
Hofner 500/1
Beatles BASS
63Vintage
1996年〜
Hofner 500/1
40th Anniversary
Type-I
1996年
Hofner 500/1
40th Anniversary
Type-II
コンパネ修理など
1999〜2000年
Hofner 500/1
Beatles Bass
Vintage'63
1999〜2000年
Hofner 500/1
Vintage63
2連ペグ交換済み
2005年製
バインディング無し
ネックを採用、すぐ
回収されて姿を
消してしまった
初代HCT500/1SB
2007年10月
Hofner
HCT 500/1
モディファイ
2010年製
Hofner
Ignition Bass
11台目も
Ignition Bass
でしたが売却済
Hofner
日々徒然
Hofner 500/1
修理みたいな
ことをしてみる
その他、
Hofnerの違い
使ったパーツなど
Hofnerの
過去の資料や
雑談など
大阪のMr.YKがまとめた日本仕様(谷口仕様)
のHofner 500/1
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1961〜1970年代の
世界標準モデル
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1994〜2000年初期の世界標準モデル
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20/40というモデル
そして、
20/40の変遷表
本当のanother
Hofner story
渡辺昭夫さん
(アキオ楽器)
1967年頃?
Greco VB-200
VB-300
里帰りを果たす
我が家の
Hofner500/1の音